前の記事 理想と現実のコントロール「現実を上げる」
ヤマナオ式「コミュニケーションの基本」
私が考える「コミュニケーション」の最終的な理想像は、
「他者を動かすことができるよう、影響力を持つ」
ことになります。
そのために必要な思考回路と行動が、
「他者の悪いところに関心を持たず、良いところを見るようにして、自分が出来ることに集中し、信頼度を積み上げる」
2つ前の項目でも話しましたけどね。「他者のことはあまり気にせず、自分に集中をする」というのが基本になります。
で、今から説明をしていくのは「他者のことはあまり気にしない」というところが中心となりますかね。他者のことでの「心の動き」を少なくする考え方と言いますか。
私の経験上だとですね、これから説明することを順次取り入れて行くと、他者のことが気にならなくなるんですよ、マッタク(笑)。ただただ自分に集中することができる。
そして自分が人から認められるような行動や言動をしていれば、自然と影響力が出てきます。無理をして、他者の悪いところを見つけて、自分の正しさを主張して、なんてこと必要ありませんからね。
というか、人を気にしすぎる行動・言動は、自分の信頼度を落とす要因になりますのでね。その辺はまた順次説明をしていきますけれども。
では、まず考えてほしいことがあります。
「注意や指摘を受けた時、すんなり受け入れることができる人いませんか?」
「同じことを言われているのに、人によって自身の受け入れに違いはありませんか?」
「自分もこうなりたい、と目指すべき人間性を持った人はいませんか?」
ありますよね、あなたにゃ言われたくないよ~、という人。逆に、この人の言うことなら信頼できる、という人。人に影響力を与えちゃう人ですね。
「自分はそんな人間になれっこない」
なんて思わないで下さいね。ちょっとした思考転換と、毎日のコツコツ積み上げで、人に影響を与えられるようになりますからね。
ではでは、コミュニケーションの基本をより詳しくお話していきますね。段階別に。介護の仕事に限らず、あらゆる人間関係で使えると思います。
「考え方・価値観の違い」を受け入れましょ、というか良し悪しの判断をやめちゃいましょ
「介護の仕事は私生活の場で行われるサービスだから、人間関係が難しい」
「人に『違い』があるのは当たり前」
なーんてことを既に話しております。でも、この考えが非常に重要なので、再度念押し。
多様な考え方・価値観の受け入れ、まずこれを意識していかないと、今から長々と話す(笑)ことが「苦」につながってしまいますので(笑)。
この「違う価値観を受け入れる」というのができない人、本当に多い。受け入れるといっても、自分の考えを曲げるとかではなくて、スルーでいいんですよ。
でも、「あれが違う」「あの考え方はない」「あの人は間違っている」「あり得ない」ウンヌンカンヌン…まあ、他者を評価したがる人多し(笑)。
勝ち負け・優劣・常識非常識、そんなことを決めるのはやめましょう。
これはですね、裏を返すと「自分が正しい」ということを他者に認めてほしい欲求なんですけどね。で、人間の苦悩は、この「承認欲求」によるところが大きいんです。他者に認めてほしいから、自分の主張をする、という本能がクセモノなんですよね。
受け入れる、という言葉をちょっと違う表現をしてみましょう。
「良し悪しの判断をしない」
多様な考え方・価値観を受け入れる=良し悪しを判断しない、という言葉で表現できます。
良し悪しの判断グセがあると、今から説明する「反応を選択する」とか「悪口を言わない」とか「共感」とか「否定しない」とか「褒める」とか…いや、良く考えたらコミュニケーションのすべてに影響が出てくる(笑)。
といいますか、ムリをして「悪口言わない」「共感する」「否定しない」「褒める」ということ自体が自分を苦しめる。ムリをしているからボロが出てきてしまうこともありますからね。
逆に、「違い」を受け入れて、良し悪しの判断もしない、ということが習慣化されれば、あとが非常に楽ですね。無理をしなくてもメンタルが安定し、人間関係も改善されていきます。これ本当。
例えばですね、悪口に焦点を当ててみましょう。「悪口はよくない」って良く聞きませんか?。悪口は良くないからやめましょー、ってね。
ほとんどの人が理解はしているんじゃないですかね?「悪口は良くない」って。
でもなくならない。
だって、私生活の場なので「価値観の違い」が溢れているから。
私も実際働いたところで、こういった類のルールを作っている組織もあるんですよね。ですが、この類のことを文化にしたいのであれば、根本の考え方を教えていく必要があります。
私はまず、
「介護は私生活の場での仕事」
「価値観は多種多様」
「違いがあって当たり前」
「人を評価しない」
「良し悪しの判断をしない」
「反応の選択は自分次第」
というところを伝えるのが先決だと思うんですよね、悪口撲滅を訴える前に。
で、「悪口やめましょう」と言っている管理職や経営者の人も、案外「違い」を受け入れてない時が多い。人や人の行動・言動に良し悪し判断をして、愚痴を言っている人も多いですよ、管理職・経営者でも。
感情に振り回されている人いますし。
上の立場の人はですね、冷静に「違い」を受け入れて、修正・改善していくことが経営者や管理職の仕事。組織を「あるべき姿」に持っていくことが仕事……、まあ、この辺は「組織運営編」でじっくりと。組織づくりでも非常に重要な考え方なので。
悪口をなくしていくには、まずは「違い」があって当たり前なんだよ、というのを知っておかないとダメな話だし、その上で「良し悪しを判断するのは、承認欲求という自分を苦しめるものなんだよ」というのを理解していないとダメ。……だと思う(笑)。
色々と言ってもわかりにくいかもしれないので、介護の場面を使って少し話を展開してみます。
例えばですね、食事介助。
スプーンを口元に近づけても、なかなか口が開かない方がいるとします。全て食べ終わるには30分の日もあれば、1時間を超える日もある。
その時にいくつかの考え方・価値観がありますけどね、ここでは2つほど例を挙げます。
「長く座っていると本人も苦痛」
と
「栄養摂取は大事」
相反してますねぇ。ちなみに私は「人生の後半の後半、無理はしなくてもいいんじゃない」派なので、一定時間以上かかる場合は食事介助を切り上げて、早めにベッドに寝かせてあげたいクチ。
自分の考え方・価値観と相反する場合に良し悪しの判断をしたくなります、人の本能と言ってもいいかもしれない。相反する行動をした人を非難したくなる。間違いだと主張したくなる。
でも、判断しない、という選択もアリなんですよね。
まあ、方針が決まっていて、例えば「食事は30分くらいにして、食べきれなくても少ししたら横になってもらう」ということを決めていた場合にですね、1時間も食事介助をしている職員に「切り上げましょうか」と指摘をする、というのはアリですよ。
あとはケアマネジャーに伝えて、家族と話し合いをする場を設定してもらうとかですね、考えることは。
ただ、自分の価値観で判断をして、主張をする、というのは控えた方が良い。この例でいえば、正解は本人と家族が「どうしたいか」なので。
まあ、色々と考えると難しいので、一言、
「良し悪しの判断をするのはやめちゃいましょ」(笑)
違いを受け入れる、とかいうと疲れちゃいますので、良し悪しの判断をするのをやめる。判断するのをやめると、受け入れができるようになります。コミュニケーションを良好にするために、これが一番最初にすべきことです。
違いがあれば、しかるべき人に判断をしてもらいましょ。良し悪しをつけるから、受け入れられなくなるのです。
私の心のつぶやきで、一番多いのが、
「こんな考え方もあるのね」
という言葉。この心の声をクセにすると、自然と判断をしなくなりますよ。
で、この考え方とつながってくるのが、「感情のコントロール」と「悪口を言わない」というところなんですよね。
判断をやめる、からの「感情をコントロールする」と「悪口を言わない」。この3点がまず初めに意識してほしいこと、コミュニケーションの土台と言ってもいいことですので、関連する2つの項目を詳しくお話していきます。
- 理想と現実に差がある時、心が揺れ動く(喜怒哀楽)。
- メンタルを安定させるために その1「理想を落とす」。
- 介護の仕事の給料は「低いけど安定している」。これをどう受け止めるか。
- 「介護の仕事は私生活の場で行われるので、関わる人達のマイルールがぶつかりあう。」人間関係が難しくなるのは当たり前のこと。
- 「人によって違いがあるのは当たり前、特に私生活の場では当たり前の当たり前。他者に期待しない。」
- メンタルを安定させるために その2「現実を上げる」
- 「他者や世間一般は気にしないで自分を見つめる」。自分がしたいことを目指して、1日15分でいいからコツコツ積み上げる。継続できる方法を探す。
- 過去の出来事に不平不満や愚痴を言うのではなく、「解決する課題」として捉える。「今からどうしようかね」を口グセに。
- 「違い」に対して、良し悪しの判断をするのをやめる。そうすると「違い」を受け入れられるようになる。
次の記事
ヤマナオ総合福祉からのお知らせ |
「福祉タクシー」「社会福祉士・行政書士事務所」の開業準備中です(2021年7月頃予定) 「介護保険外サービス」「各種セミナー・研修講師」の対応はしております。 |
お問い合わせフォーム |