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この理論、色々なことに応用できるんですけどね、メンタルヘルスでもキホンのキになりますので、まずこれをご理解下さい。
ストレスというのは、ここでは「心が動揺する状態」「心が不安定な状態」「喜怒哀楽」「苦悩」といった状況を指します。本来の意味は違うかもしれませんが…、まあその前提で話を聞いて下さいね。
まず結論から言うと、「理想(期待)-現実」という図式になります。期待という文字も入れましたが、今後この「理想」という言葉をよく使いますので、理想=期待=求める心=欲求、と理解をしておいてください。
そして理想と現実の差が大きいと心が揺れ動く状況となります。
理想よりも現実が上回っていれば、それは喜・快・楽なんていう感情に向かいます。逆に理想よりも現実が下回っていれば怒・哀・苦・悩といった感情に。
で、ストレスは後者。現実が自分の理想に至っていない場合、苦悩が生まれます。
例えば、ですけどね。介護の仕事の「離職原因」としてよく挙げられるのは「人間関係・収入・将来性」あたりだと思います。
人間関係で言えば、人は大体「自分と同じを求める」「自分を認めてほしい」という欲求があるんですけどね。ついつい相手の言動や行動に自分の理想(期待・求める心・欲求)が出てきてしまうんです。
「こうしてほしい」という期待に対して、思った通りに相手が動かなかった時にイラっとすることないですか?自分の考えと違う他者の言動にイラっとすることないですか?
といったように、自分の理想とは違う言動・行動があった場合に、落胆する・怒りを覚える、という心理状態になります。
収入でいえば、「もっと収入が欲しい」という理想に対し、現状と比べて嘆く。介護の仕事は世間的に「低収入」と言われていますしね。
お金をもっと使いたいところがある、買いたいものがある、旅行に行きたい…ウンヌンカンヌン。
誰でもですね「理想」や「期待」というのはあるんですよね。
「手早く仕事をしてほしい」
「自分のいうことを聞いてほしい」
「人間関係を良くしたい」
「自分を認めてほしい」
「収入を上げたい」
「今の働きでこの給料は安すぎる」
まあ、なんでも。理想があるから、心が揺れ動く、ストレスを感じる。冒頭でもお話しましたが、まずこれを理解することが「メンタルヘルス」のポイントとなります。
「燃え尽き症候群」という言葉聞いたことありますよね。これは理想が非常に高い人がなりやすい現象です。
私もたくさんの人と接してきましたが、完璧主義と呼ばれる人はストレスを抱えやすい、と感じております。自分にも他者にも理想が高すぎる人ですね。これ例外ないかも。すぐにイライラカリカリ、メンタル乱れていることが多い。
メンタルを崩す人というのは総じて「理想が高い人」と言うことができる、と私は思っております。私の考えですからね、あしからず。
理想が高くても、現実を上向かせることができる人はいいんですけどね。努力できるとか、人を動かすことができるとか。
理想は高いけど、努力しない、人から信頼されない、影響力を与えられない、という人は要注意。理想と現実の差にストレスを感じ、メンタルを害してしまいます。
イメージがつきやすいよう、私の体験談。
私が一緒に仕事した人なんですけどね。組織での立場は中間管理職とオツボネポジ(笑)。
知識量と経験値が多い方でですね。個人レベルでは仕事もできるんですよ。
でも、他の職員にも同じレベルを望み、また「自分と同じを求める」「自分の価値観は正しいと思っている」人で、「違い」があるとイライラカリカリ。そして非難・否定・叱責・吊るし上げ。自分の失敗は認めず、他者のせいにする。
言うことは確かに間違ってはいないんですが、人を恐怖で動かしている状況だったので、他者からは「叱責された」「皆の前で恥をかいた」「否定された」という負の感情が支配してしまい、肝心の「改善」ができない状況に。
自分の失敗は人のせいにしているもんだから、他の職員も中々言うことを聞かないんですよ。そして出てくる言葉は「ここの職員はレベルが低い!」
ちなみに、その人にリーダーシップ・指導力・マネジメント力(管理能力)がない結果が「ここの職員はレベルが低い!」という言葉になってしまうんですけどね(笑)。
部下のことを「レベルが低い!」なんて声高らかに言うのヤメテくださいね…。
要は「うまく人を動かせない状況」ですので…。
自分自身の「管理能力」がないと声高らかに宣言しているものなので…(笑)。
介護の仕事では案外アリガチなんですけどね。現場の能力(経験・知識)が高いゆえに役職が上がる、ということ。でも人を動かしていく能力というのは、また別なんですよね。
そしてこれも多いのが、業務遂行能力が高い人は、他者にも同じレベルを求めガチ、というところ。自分が「できる人」なもんだから、余計他者の「足りない所」が見えてしまう。
イライラカリカリ管理職はその典型。
「自分の伝え方が悪かった」とか
「どう教えればわかってくれるか」とか
少なからず、自己で改善できるところもあるんですよね。そういう視点にいかず、「できないのは自分以外のせい」に持って行ってしまう。
それでは年単位で見ても、組織自体が進歩していかない。その人はいつもイライラカリカリ。他の職員はビクビクして自分を発揮できない。まあ悪循環。
ここでは管理能力ウンヌンではなく、その人の「心理状態」がポイントなんですけどね。他者への理想は非常に高い。しかし自分の言動・行動では人は動かない。改善していかない。でも理想は高いまま。そしてストレス積み上げ、さらにイライラカリカリ。
去る人も増え、自分の仕事量が増えるとさらにイライラカリカリ。
これは「理想」に対して「現実」をうまくコントロールできない状況と理解してください。
前述しましたが、メンタルを壊してしまう人、このタイプの人が多いと感じております。私の経験上ですね。
他者を気にしすぎといいますか、いつも他者の「できていない」ことに目がいってしまうといいますか。自分が「正しい」と思いすぎているといいますか。
適切かつ高い理想(リーダーシップ)を持って、指導力とマネジメント力がある人は非常に貴重な人材なんですけどね。わたしは「バランス感覚」と言っているんですけどね。理想と現実のバランス調整能力が長けている人。
このバランス感覚についてはまた別の記事でお話しますけどね。
まあ、介護の仕事をしている中では「バランス感覚に長けている人」ほとんど見たことがない…(笑)。
大体が「あの人はここができてない」「プロ意識が足りない」ウンヌンカンヌン。問題は見えているんですけど、問題解決の仕方がわからず「愚痴・批判」で終わってしまう。これは良くないパターンです。
愚痴と批判だけでは何も変わりませんからね。改善のための問題解決をしていかないとですね。
色々と話しましたが、ちょっと話を戻して、まず、ストレスは「理想-現実」から生まれる、ということを理解してほしいワケです。
で、その後に理解してほしいことは「メンタルを保つためには、理想と現実のコントロールが非常に重要」というところです。
前述したように介護職では「人間関係」と「収入・将来性」というところがメンタルヘルスにおける大きなポイントになりますので、その辺を中心に「理想と現実理論」を展開していきますね。
と、ここまで「ストレスの正体」についてお話ししましたが、そういう私も以前は「他者を気にしすぎて、イライラしていた」クチ(笑)。でも、この「理想と現実理論」にたどり着き、メンタルが非常に安定したクチ(笑)。
ということで、この理論は自信をもってお伝えすることができる(笑)。私は十年くらいかけて「メンタルを保つ方法」を発見し、実践しております。
まあ、この理論はなんにでも応用可能なので、是非理解して下さいね。もし理解ができない、もっと話を聞きたい、という方は個別面談や団体でセミナー・研修を行うことも可能ですので、ご連絡下さい(^^)
それでは次に、「理想と現実をコントロールする」というところの話をしていきます。
- 理想と現実に差がある時、心が揺れ動く(喜怒哀楽)。
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